何かを始めるには必ずキッカケがある。
そんなキッカケは、そこはかとなく、前触れもなく、突然にやってくるものだ。
オッサンの場合もそうだった。
いつものように会社でやる気もなくゾンビ化していた昼下がり。
オッサンの携帯電話(スマホではなくガラケー)が鳴る。
画面表示を見るとオッサン2号からだった。
オッサン2号とはこのブログでもしょっちゅうネタとして登場する人物で、船釣りに命と給料と家庭の平和を削りまくっている太公望。
薄給で懸命に働いているオッサンとは裏腹に、コヤツは仕事が休みらしく暇つぶしがてら連絡してきたらしい。
2号:「今日仕事?」
オッサン:「普通、平日は仕事してるよね。」
2号:「オレは明日も休みだから、タコ釣りでも行こうと思って。」
オッサン:「よく金が続くな〜」
2号:「最近は安くあげるために陸っぱりでやってみようと思ってる。三崎とは福浦とか・・・・以下略」
オッサンは「ふ〜ん」と上の空で聞いていたのだが、2号のある台詞がオッサンの興味を引き立てた。
「タコって結構身近にいるから、どこにでもいるみたいよ!」「タコ用のルアーで『デビルエイトクロー』っていうのがあって・・・」
オッサンのタコ釣りのイメージって、昔風のタコテンヤにらっきょうとかカニを括り付けて手釣りでクイクイ!やってる感じなんだけど、昨今は”オクトパッシング”と称してホットな釣りモノになっているらしい。
”陸っぱりでどこにでもいる”ということは身近で安上がりに楽しめるカモ知れない。
そして何よりもオッサンを刺激したのは『デビルエイトクロー』という昭和プロレスのフィニッシュ・ホールドのような響き。
聞けば「デビル渡辺」という方が開発したタコ専用のルアーらしい。
デビル渡辺!?どんな渡辺なんだ?
デビルは開発者の異名、エイトはタコの8本足だろうけど、”クロー”ってタコがルアーを掴むのか、ルアーがタコをガッツリ引っ掛けて離さないというイメージなのか・・・
2号の話を聞きながらオッサンの頭の中は、”鉄の爪”の異名を持つレスラー【フリッツ・フォン・エリック】の必殺技「アイアン・クロー」がず〜っと浮かんでいた。
プロレスという格闘技は今ではとてもマイナーになってしまったが、オッサンが若い頃はしょっちゅうテレビ中継もやっていて、プロ野球に匹敵するほど人気のある興行だった。
今のプロレスの必殺技はトップロープから飛んで三回転半ヒネリで相手にアタックするようなド派手なものだが、昔はアイアンクローとか空手チョップとか、今思えばすこぶる地味なのが決め技だった。
話は変わるが、オッサンが若い頃、親戚があるプロレス団体のリング屋さんをやっていた関係でプロレスには少々縁がある。
全国の興行会場に行っては、リングの設営撤去と試合中はTシャツやポスターなどのグッズ販売をやったりして楽しかった。
今はもうそのプロレス団体は無いが、名前を出せば多くの人が知っている、とても人気があった興行だった。
所属のレスラー(今でもテレビとかによく出てる)は当然ながら、観戦に来ていた多くの有名人とも出会って貴重な体験でした。
レスラーって自分勝手で失礼な奴も多いが、その団体は人間関係に厳しくて、みんな礼儀正しく良い人ばかりだった。
そんなノスタルジーな響きが、オッサンの興味の琴線をビシビシと刺激するのである。
2号:「デビルエイトを自作する人もいるみたいよ!やってみれば?」
オッサン:「自作?・・・・・まぁ、考えとくわ。」
人が”考えさせてくれ”と言う時はたいがいOKという意味である。
電話を切るやいなや(=as soon as)、オッサンの頭の中はデビル自作の方向で回転し始める。
まずは敵を知らねばならない。
デビルエイトクローというのはどんなものなのか?
死んでいたゾンビは生き返り、早速近所の上州屋に現物を確認しに行くべく自転車を飛ばす。仕事中なのに。
小さなタココーナーにそれはぶら下がっていた。
リアルなエビの形のワームにステンレス線で構成されたルアーで、金属板のキラキラとV字のオモリが集魚効果を発揮するらしい。
そのコーナーにあった他のタコテンヤやタコエギは何だか安っぽくて”こんなのでタコが釣れるのか?”と疑問だったが、このデビルエイトクローは存在感が光ってました。
それもそのはずお値段なんと1500円(税別)ナリ〜!!
エ〜っと・・・これってひとつの値段だよね?と確認するが、どうやらおひとつの値段のようで・・・
そもそも買うつもりはなくて偵察で見に行ったんだけど、逆お買い得価格にビックリ!!
敵の概要はつかめたが問題は細かい寸法とか各パーツの収まりがよく分からん。
ここはおひとつ買うべきか?開発者に敬意を表して買うべきだろう!とも思ったが1500円は痛すぎる。
と葛藤していたけど、2号が「ひとつ持ってる」と言ってたことを思い出す。
2号に「お手本にするから貸してくで〜」っと連絡したら、すぐに持ってきた。
2号曰く「高いから怖くて使えないんだよね〜」と、持ってはいるが実釣したことはない様子。
釣りに関しては金に糸目を付けない2号が言うのもうなずける。
仕掛けのロストは当たり前のこの釣法。
下手すりゃ1500円が一発で吹っ飛ぶことを考えたら、そりゃ使えんわな!
これが噂の『デビルエイトクロー』か!?
デビルエイトクローをマジマジと観察する。
なるほど良く出来てるもんだ!タコが釣れるというのもうなずける。
お〜カッコイイ!!
裏側はこんな感じ
”自作の人達はどんな作り方をしてるんだろう?”とデビルエイト自作のサイトでいろいろと調べてみる。
先達の知恵と工夫と苦労を労せずして利用できるのは後続の利点でもある。
自作となると高品質なものから安っぽいものまで様々あるが、いろいろ観ていくとデビルエイトの欠点もあるらしいことが分かってくる。
まぁ、物事にはどんなものにも利点があれば欠点もある。※もちろん、使う人によって感じ方は違うと思うし、制作する側も数々のテストを重ねて商品化しているハズだ。なので、何も知らないオッサンが”欠点”と表現するのはおこがましいと思いますが、便宜上”欠点”と表記させてください。
ハリが小さいもともとハリがこのサイズなのは根掛かり防止対策らしいですが、ハリが小さいのでタコを掛け損ねることもあるらしい。
ハリの強度付属のハリは硬くてよく刺さるらしいのですが、強度があるということは脆いという側面もあります。根掛かりが多発するこの釣法で、根掛かりが外れない時は、力づくで引っ張りハリを伸ばして外すという方法もあります。デビルが根掛かりすると、ルアーごとロストするとかハリが折れてしまうこともあるようです。
すごく刺さりそうなんだけどね〜
ブレードがあると飛距離とフォールが遅いキラキラと光って集魚効果のある「デビルブレード」しかし、投げたときやフォール中に風と水の抵抗を受けて減速してしまうらしいので、ブレードを外して使っている人もいるらしい。
こんな小さなブレードでも抵抗になるのか・・・
ワームの脱着がやりずらい「スナップ式で瞬時にカラーロテーションが可能」となっているが、スナップは外しにくいし、先端が丸まっているので”瞬時に!”はあり得ない。専用のクローワームにはあらかじめ穴が開いてるから何とか交換できるが、専用ではないワームには通常は穴は空いていないので交換は難しいのでは・・・
スナップが外しにくいし普通のワームは刺さらないよね
専用のワームには穴が開いてるから交換できるけど・・・
外すのも一苦労。慣れが必要ですね
なるほど、色んな事情があるもんだ。
大体の概要が掴めたのでデビル自作作戦を開始する。