夏シーズンのハゼ釣りは、水にヒザくらいまで立ち込んで釣り糸を垂れるスタイル。
オッサンが通っているハゼ釣り場は東京湾奥の運河だから、立ち込むには決してキレイな水とは言い難いが、それさえ我慢すれば避暑を兼ねた釣りができるので気持ち良かったりする。
釣りをしてる当人は夢中で釣りしてるんだけど、傍から見ればノンビリと涼し気な夏の風物詩の風景。
当然そんなスタイルだから、2mくらいの短い竿を使うのが一般的だと思う。
しかし時と場合によっては、風物詩なんぞ呑気なことはいってられない状況もある。
例えば、雨があまり降らずに猛暑・酷暑が続くと赤潮が発生し、浅場では全然ハゼが釣れなくなる。
潮の影響でなくとも、短い竿でポンポン釣れるのは7月までで、8月に入ると浅場では小ハゼは釣れるんだけど良型はもっと深くないと釣れなくなることもある。
釣り場やその時々の状況によって違うんだけど、深場の方が安定した釣りができるので、どうしても深場狙いになってしまう事も多々あり。
ハゼ釣りで深場というとだいたい2m以上になるから、それなりの長さの竿が必要になる。
オッサンの経験上、3.6mくらいの竿がバランス良いのかな?という印象。
2.7mだとちょっと短いので広範囲に探れないし、4.5mだと長すぎて釣りがしづらい。
なので3.6mくらいが絶妙な長さになると思う。
ご存知の通り、オッサンのハゼ釣りはウキを使わないミャク釣りなので常に道糸にテンションを張っていなければならない。
短い竿ならともかく、3.6mの竿で釣りのあいだ中テンションを張り続けるというのは骨の折れる作業だ。
なので、ミャク釣りの場合は竿の性能、とりわけ軽量というのがキーポイントになり、それがモロに釣果に影響する。
軽量であれば、常にアタリが取りやすいテンションを維持しやすく、アワセや取り込みといった一連の作業がやりやすい。
というわけで、ミャク釣りの竿はとにかく軽さが求められるのである。
ところがだ!軽いということは贅肉を削ぎ落とした無駄のないフィルムから生まれるのでして、それなりの材料と技術が求められる。
通常は気付かないような目に見えない贅肉をこれでもか!と削ってゆくが、釣り竿としての強度と柔軟性が損なわれては元も子もない。
そんなRIZAPの鬼トレーナーのようなスパルタンかつ繊細な製作工程を経るもんだから、お値段もライザップだ!
なので、お手軽お気軽に手が出るもんじゃないんだけど、背に腹はかえられん!
オッサンのような貧乏人にはヒモなしバンジーな覚悟で購入した次第であります。
実際に軽量3.6mの竿を使ってみたら、すこぶる感触が良くて楽しいハゼ釣りになった。
心地よい竿のしなりで、良型ハゼを深場から抜き上げるオッサン。
深場釣りのメリットは型が良いだけにとどまらない。
針掛かりしたハゼが水中でギュンギュン暴れる、その引きを長く楽しめるのである。
すっかり長竿釣りにハマったオッサン。
当初は最初に購入した竿で満足してたんだけど、その翌年にもう一本の長竿を買うハメになった。
ある釣り師の言うことにゃ〜「一本の竿で1,000匹釣らないとその竿の本質は分からない」らしい。
そんな言葉を思い出し、「まぁ、最初の竿で1,000匹は釣ってるだろうから、次を考えても良い頃合いだろう…」と次に触手を伸ばしたのである。
同じような役割のアイテムが異常に増えてゆくのはどの世界でも一緒で、興味ないアカの他人に言わせれば「まだ使えるのにもったいない。みんな一緒じゃん!!」と思われるかも知れないが、当人にとっては一つ一つが微妙に違うのである。
そして、その微妙な機微を味わい求めるのがアダルトな楽しみ方なのである。
っという訳で、釣り人あるあるで同じような竿が増殖し、家族から冷たい視線をぶつけられるオッサンなのでした。
いつものように前置きが長くなりましたが、今回はオッサンが持っている2本の長竿インプレッションです。
どちらもオッサンが選んだナイスな竿で、どちらも甲乙つけ難いのですが、もしこのクラスの竿を検討している方がいたら参考にしてみてください。
1本目は【軽極ハゼ 硬式360】です。
全 長:約3.6m(実測:3.64m)
継 数:8本
仕舞寸法:57cm
自 重:約45g(実測:43gキャップ除く)
先 経:0.6mm
元 経:17.9mm
適合ハリス:0.2〜0.8号
カーボン含有率:96%
ガラス繊維:4%
使用樹脂:エポキシ樹脂
ご存じの方も多いかも知れないハゼ釣りの名竿です。
”軽極”と豪語するくらいに軽く、キャップを除いた実測の重さはわずか43g!
初めて使った時は「3.6mの長さでこの軽さは驚異的だ!」と感動しました。
オッサンが購入した”硬式”と硬式ではないバージョンがあるけど、オッサンは竿に張りがある方が好きなので硬式タイプにしました。
とは言え、実際に使ってみるとけっこう柔らかいもんだから、ミャク釣りでのアタリは取りやすいんだけど、アワセのタイミングがホンの少し遅れる印象。
でもその分、掛けた時のハゼの暴れっぷりで、気持ち良い竿のしなりが味わえて楽しかったりする。
硬式ではないバージョンは触ったこともないから謎です。
まぁ、硬いだの柔らかいだのの感触は人それぞれの感覚だから極めて玉虫色で、実際に使ってみないと何とも言えませんよね〜
釣り仲間が同じ竿の4.4mタイプを持っていたので、ちょっと使わせてもらったけど、3.6mよりもより柔らかい感じだった。
気を付けているのが、軽い=脆いということでもあるので、根掛りした時は外そうとグイグイ竿を煽らずに、さっさと諦めて直線的に引っ張ってラインブレイクさせてます。
安い買い物ではないので、下手うって折れたらシャレにならん!
オッサンが購入したときの実売価格は8,500円くらいだったが、タイミングによってはコレよりも高い安いがあると思う。
オンシーズンだと入手困難なようなので、オフシーズンに要チェックしておくと良いカモ知れません。
この竿に出会ってなかったら、ハゼ釣りに長い竿を使うという選択肢は無かったと思います。
未だに短竿を使って「今日も厳しいね〜…」を繰り返していたのではないかと…
短竿を使って足元の浅場釣りと、長竿を使っての深場の沖狙い。
ハゼが釣れる状況によって使い分け、安定した釣果を狙えるようになりました。
それゆえにどちらを使うのか?と悩みも増えましたが、それは嬉しい楽しい釣りのお悩みだから楽しいもんである。
オッサンのハゼ釣りの裾野が広がった記念すべき竿であるのは間違いなく、次にご紹介するもう一本も試してみようとも思わなかったハズ。
値段の割に良い竿を作る宇崎日新製
竿を入れる袋付き
希望本体価格は希望のままでお願いします!
グリップは滑り止め仕様になっていて握りやすい
黒色ベースだけど、一部塗装はラメ入りのグリーン色で落ち着いた雰囲気
先経は0.6mmと極細でリリアンは赤色
お次は、釣りする人ならみんな知ってる一流メーカーダイワの【清流X 硬調35】です。
全 長:約3.51m(実測:3.5m)
継 数:7本
仕舞寸法:58cm(実測:60cm)
自 重:約47g(実測42gキャップ除く)
先 経:0.6mm
元 経:20.7mm
適合ハリス:0.2〜0.8号
カーボン含有率:97%
ガラス繊維:3%
使用樹脂:エポキシ樹脂
軽極ハゼに飽きてきた頃に「もっと他の竿は無いのかな?」とフトコロ事情も顧みずに探し始め、見つけた竿。
とにかく軽さをテーマにマイナーなメーカーの掘り出し物前提で物色してたんだけど、まさか一流メーカーで見つかるとは思ってもみなんだ!
まぁ、お値段さえ気にしなければそこそこ軽い竿はそこそこあるんだけど、ハゼ釣りに使うのに大枚はたけないので、あくまでリーズナブルな価格帯で探していた。
気になる重さは47gと、軽極ハゼに比べるとちょっとだけ重い感じ。
その差の2gがどのように感じるのかは実際に釣り比べてみないと分からないんだけど、屁の範囲内だろうて。
実は以前、釣り仲間が「軽極ハゼ」をご所望だったが売り切れで手に入らず。
代わりに購入したのがこの清流Xで、その時は4.5mだったけど3.5mもあったので気になっていた竿。
しかし流石は一流メーカーのダイワさん。
竿名に”X”を入れるくらいだからネジレ防止のカーボン繊維をX状に巻いた「X45」と「ブレーディングX」をはじめ、高感度の「メガトップ」、高密度カーボンの「HVFカーボン」、固着防止リングと機能満載だ。
オッサンみたいな素人には、この機能の数々の何がありがたいのかサッパリ分からんが、とにかくスゴイんだろう!というのは伝わってきた。
いちおう一流メーカー製なんだから失敗はしないだろうて…っと、またしても散財。
オッサンの購入価格は8,000円くらいだったけど、これも価格変動はあるでしょうね。
オッサンの宣伝効果で仲間も同じ竿を買っていたので、軽極ハゼよりは入手しやすいと思います。
「DAIWA」の外装で届いた。さすが一流メーカー!
カーボン繊維のXテープは一部にしか巻かれてないが…
ほぼ全体は通常の竿のご様子
グリップにもXが見える
グリップ部は滑り止め加工&太めでとても握りやすい
固着防止リング付き。地味にありがたい
穂先はもちろん細い。リリアンは地味な茶色
さて、せっかく大枚はたいて購入した竿なので比べてみたいと思います。
まぁ、軽さも価格帯も同じ程度なので大きくは違わないので苦しい比較ですが、少しは違いがあるのでご紹介します。
まずは見た目にハッキリと分かるグリップ部。
軽極ハゼは元経が17.9mmで清流Xが20.7mmとかなりの差です。
全然太さが違う
軽極ハゼが細いのではなくいたって普通で、清流Xが太いんだと思います。
どちらも滑り止め加工がしてあるので感触は良いのですが、握り心地が全然違います。
結論としては、清流Xの方が握りやすく操作もしやすいです。
別に軽極ハゼが普通なのであって、清流Xがよく出来ているんです。
軽極ハゼの握りは普通だけど、
清流Xのグリップが秀逸すぎる!
お次はリリアンの色。
先経は両方ともに0.6mmと繊細な釣りを想定した高感度設計。
オッサンはミャク釣りで竿先を凝視してたりするから、軽極ハゼの赤色の方が見やすくありがたいかな。
まぁ、リリアンって消耗品だから交換時に目立つ色にすれば良いだけだ。
ミャク釣りでは目立つ色の方が釣りやすい
なにげに地味だけど無くなると不便なのが、口栓いわゆる竿先のフタ。
無くなっても釣りには影響ないけど、移動時に困るんですよね〜
まぁ、無くなっても釣具屋で売ってるからどうにでもなるが、純正の口栓はけっこう凝ってる作りが多いから、無くなるとチョビっと残念な気分になる。
上が軽極ハゼで下が清流X
どちらもしっかり締めてもかなり飛び出す。まぁ、ユルユルよりは良いけども
メーカー公称の重さでは軽極ハゼは45gで清流Xが47gだけど、キャップを除いた重さは軽極ハゼは43gで清流Xが42gと逆転する。
この理由はこの口栓にあると思ってるんだけど、釣りする時は口栓を外すんだから自重に含まれなくて良いと思うんだけど…
次は柔らかさ。
先程も書いたんだけど、硬い柔いはその人それぞれなのであくまでオッサン個人の勝手な印象だと思ってください。
実際に使ってみた印象は軽極ハゼの方が柔らかく感じた。
その差はホンの僅かカモ知れないけど、明らかな違いがあった!
ここでオッサンごときが”違いのわかる男”を演出しても信じてもらえないだろうから、視覚的に見て頂きたい。
それぞれに1号のオモリをぶら下げた時のしなり具合です。
上が清流Xで、よりしなっているのが軽極ハゼになります。
上が清流X、下が軽極ハゼのしなり加減
僅かな差ではあるけど、実際に釣りをしているとかなり違いますよ!
人間の肌感覚ってかなり敏感なので、この程度でも確実に違いは分かると思います。
清流Xの方が竿に張りがあるという事です。
最後に一番気になった点をば。
これは竿を使ってみないと感じられないんだけど、竿のバランスの位置(重心)が全然違います!
この重心って竿の操作性にとても影響します。
竿の軽さとは別の話で、竿の振りやすさ・扱いやすさの話になります。
当然ながら、竿を振る支点となる握っている手の位置に重心が来るのが理想ですが、のべ竿でオッサンみたいに竿尻を握るやり方になると一番竿尻に竿の重さが来るのが理想になる。
そんなのは物理的に不可能なので、なるべく重心が手元に近い方が操作しやすくなる。
この2本の竿を比べてみると、明らかに軽極ハゼの方が重心が竿先方向にある。
つまり清流Xの方が操作しやすかったということです。
オッサンの好みの問題でエコヒイキしてるんだろ!と思われるのも癪に障るのでキチンと測ってみた。
竿の重心の位置を確定して、竿尻からの距離を測定。
重心の位置は、竿を伸ばしてどこで水平にバランスがとれるかで分かります。
コレね!
んで測定結果は?
軽極ハゼは90cmで清流Xが78cmでした。
つまり軽極ハゼの方が清流Xに比べ、12cmも竿先に重心があるということになります。
正直、ここまで違いが出るとは予想外でした。
釣り比べてみると、どうりで手感覚が違うんだよな〜って思ってたんですよね。
んで最終的にどっちが良いの?と結論を出さなくちゃならないんだけど、これはあくまでオッサンの好みというのは念を押しておきます。
もう分かると思いますが【清流X 硬調35】に軍配が上がります。
重心が手元に近く、グリップが太いので握りやすく竿の操作がやりやすい。
一番の理由が、竿に張りがあるのでアワセがビシッ!っと決まるんですよね。
なので、現在はもっぱら長竿を使う時は清流Xを使っています。
でもアタリが取りやすいのは軽極ハゼの方で、アタリを感知できる範囲が清流Xに比べて広いと思います。
いろいろと勝手に決めつけましたが、違いはホンの僅かな差で、どちらの竿も秀逸には違いありません。
来年あたりには清流Xにも飽きてくるんだろうけど、この2本を超える竿ってあるのかな?
これから登場するのかな?
そんな事よりもまずは財布の方が心配になるオッサンなのでした。